田嶋 智 | TAJIMA Satoshi

田嶋 智 たじま さとし

スイス・ヌーシャテル大学/ベルン大学 ポストドクトラル・フェロー
E-mail: satoshi.tajima[at]unine.ch
専門は地圏水文学(水文地質学・地下水学)。溶質輸送や密度依存流、地表水–地下水相互作用など、地下環境における複雑な物理的過程のダイナミクスの解明を目指し、数値解析および確率論的手法を用いて研究を行っている。博士(環境学)。

ニュース

  • 2025-11-29: レビュー論文のプレプリントをESS Open Archive にて公開しました。
    (Tajima, S., Purtschert, R., Savard, M–C., Rosier, M., Kotra, K. K., Therrien, R., Coulombe, C., Müller, C., Masse–Dufresne, J., Richard, F., Bertone, L., Barbecot, F., Lucas–Picher, P., Tigona, R., Corcho Albarado, J. A., & Brunner, P. (2025). Groundwater in the Pacific Islands under Climate Change. Preprint at ESS Open Archive.)
    本レビューは、太平洋島嶼地域における地下水資源の持続可能性を高めることを目的として、水文・地質学的背景、気候変動が地下水資源に及ぼす影響、ならびにそれらへの適応策を統合的に整理しています。さらに、伝統的知識や社会構造といった地域特有の要素を含む社会的背景を踏まえ、実効性の高い適応策を設計・実施するために、研究者や技術者、政策立案者、地域住民など、さまざまなステークホルダーが考慮すべき重要な点を明らかにしています。
  • 2025-11-09: 論文がWater Resources Research 誌にて出版されました。
    (Tajima, S. & Dentz, M. (2025). Tides and heterogeneity drive trapping and chaotic mixing in coastal aquifers. Water Resources Research, 61(11), e2025WR040620.)
    本研究では、沿岸域帯水層において、空間的な不均質性、密度流、ならびに潮汐変動が相互に作用することで、淡水―塩水遷移域内にカオス的な流れが形成されることを示しました。また、このような流れによって、溶質粒子が局所的に捕捉される一方で、淡水由来および海水由来の溶質の混合が促進されることが明らかになりました。これらの結果は、沿岸域の地下における長期的な汚染リスクや、海底地下水湧出を通じた海洋生態系への影響、さらには地下における化学的・生物学的反応のホットスポット形成などに関して、幅広い重要な示唆を与えるものです。
  • 2025-09-11: プレプリントをESS Open Archive にて公開しました。
    (Tajima, S., Therrien, R., & Brunner, P. (2025). Climate change alters post-surge recovery of coastal aquifers. Preprint at ESS Open Archive.)
    本研究では、気候変動に伴う高潮の強度および発生頻度の変化に注目し、それらが繰り返し発生する高潮に対する沿岸域帯水層の回復過程に与える影響を明らかにしました。
  • 2025-06-14: 論文がAdvances in Water Resources 誌にて出版されました。
    (Tajima, S. & Dentz, M. (2025). Transient forcing in heterogeneous aquifers drives solute containment and chaotic mixing. Advances in Water Resources, 203, 105021.)
    本研究では、多孔質媒体の不均質性と周期的に変動する外力の組み合わせによって、複雑な流動構造が形成されることを明らかにしました。この流れ場には、溶質の滞留を促進する安定な領域と、混合を促進するカオス的な領域が同時に存在します。これらの結果は、沿岸域帯水層における塩水浸入の評価や、地下水浄化および地質貯留のための効果的な戦略を検討する上で、重要な示唆を与えるものです。